4ナンバー商用車、自家用おすすめランキング
「最近の車は無駄な装備がついてやたら高くなった」
「車は見た目より中身、コストパフォーマンスを重視したい」
という方にとって4ナンバー商用車を自家用車にするメリットは大きいです。
私も実際に4ナンバー商用車であるプロボックスを自家用車として使っています。今回は実際のユーザー目線から4ナンバー商用車を自家用車に選ぶメリットと車種別ランキングについて解説していきます。
4ナンバー商用車ってどんな車?
ハイエースやプロボックス、ハイゼットカーゴなどのいわゆるバンタイプの車です。自動車のナンバープレートには「品川 400 さ 12-34」などと表記されますが、地名のあとの3桁番号の百の位が「4」である車が4ナンバー車になります。
商用車といえば白やシルバーが定番ですが、自家用にも違和感なく使える濃色カラーもラインナップされています。
また商用車はリアシートが右の図のような簡素でペラペラなベンチシートになっていることがほとんどですが、最上級グレードを選べば左の図のような乗用車と同じふかふかのシートが付いてきます。これなら後部座席に人を乗せるときでも安心です。
以上のことから、4ナンバー商用車でも乗用車的に使えそうであることがわかると思います。ではそのメリットとは何でしょうか?
メリット1: 車体価格が安い
ハイゼットカーゴ クルーズターボ“SA Ⅲ” (軽商用車) | アトレーワゴン カスタムターボRS “SA Ⅲ” (軽乗用車) |
1,397,000円 | 1,537,000円 |
プロボックス ハイブリッドF (商用車) | カローラフィールダー ハイブリッドEX (乗用車) |
2,002,000円 | 2,281,400円 |
同クラスの乗用車に比べると商用車は車体価格が安いです。例えばハイゼットカーゴとアトレーワゴンの価格差は14万円、プロボックスとカローラフィールダーの価格差は28万円にも及びます。
今どきは車がステータスという風潮は薄くなりつつありますが、それでも乗用車にはある程度の見た目や豪華さが求められるため、豪華な装備や加飾が施されることにより車体価格が上昇しがちです。
一方の商用車は人と荷物を安全に運ぶという車の本来の使命を全うするための必要十分な装備のみを備えており、余分な豪華さなどがありません。その分車体価格は安くなります。商用車はまさに資質剛健といった形で、見た目より中身、ミニマリスト志向の車に仕上がっています。
メリット2: 自動車税が安い
軽貨物車 (N-VAN/ハイゼット/エブリィなど) | 5,000円 |
軽乗用車 (N-BOX/タント/ワゴンRなど) | 10,800円 |
小型貨物車 (プロボックス/ADバンなど) | 14,300円 |
小型貨物車 (ハイエース/キャラバンなど) | 16,000円 |
乗用車 [排気量1.0L未満] (パッソ/ルーミーなど) | 29,500円 |
乗用車 [排気量1.0~1.5L未満] (アクア/ノート/シエンタ/フリードなど) | 34,500円 |
乗用車 [排気量1.5~2.0L未満] (プリウス/セレナ/ステップワゴンなど) | 39,500円 |
乗用車 [排気量2.0~2.5L未満] (アルファード/ヴェルファイアなど) | 43,500円 |
商用車は乗用車に比べて税金面でかなり優遇されています。顕著なのは自動車税で軽貨物車なら年間5,000円です。
普通車でも商用車は自動車税が安く、軽自動車と同じ1万円台で済みます。プロボックスやADバンのいわゆるライトバンクラスなら14,300円、ハイエースやキャラバンのワンボックスタイプでも16,000円です。
一方の乗用車はいわゆるリッターカーと呼ばれるパッソやルーミーでも29,500円で、プロボックス/ADバンの2倍以上の重い税金が課せられています。
メリット3: モデルチェンジ周期が長い
商用車はモデルチェンジ周期が長いため「型落ち」になりにくいです。
乗用車はせっかく新車で買ったとしても、数年後にはモデルチェンジされ型落ちになってしまいます。メーカーとしては新車の販売台数を伸ばすべく、定期的にモデルチェンジをすることで、「いいかげん見た目が古くなってきたから車を買い換えようか」と、ユーザーの購買意欲を刺激しようとします。
一方の商用車のモデルチェンジ周期は10年前後と、乗用車に比べると非常に長いです。商用車がモデルチェンジをするのは、「排ガス規制に適合するため」や「ライバル車に対抗するため」など、外圧によりやむなく行われることが多いです。
商用車のユーザーはモデルチェンジしたからと言って車を買い換えたりしません。人と荷物を積んできちんと走るのであれば壊れるまで使い続けるケースが大半を占めます。
モデルチェンジには多額の費用がかかります。そしてその費用はモデルチェンジをした新車価格に上乗せされることになります。コストが何よりも重視される商用車では、メーカーとしてもユーザーとしても、できるだけモデルチェンジをせずに、現行モデルを生産し続けることが望ましいのです。
商用車おすすめランキング(登録車)
登録車(普通車)の商用車6車種を、自家用として乗るのにおすすめな順にランキング形式でご紹介します。
第6位 トヨタ・タウンエースバン
プロボックスだと荷室高が足りないけどハイエースは予算オーバー、という方にぴったりなのがタウンエースバンです。最近はトヨタだけでなくダイハツ・グランマックスカーゴ、マツダ・ボンゴバンとしても購入できるようになりました。
後席は最上級グレードのGLでもヘッドレストの無い真っ平らなシートなので2人乗り専用と考えたほうが良いでしょう。座席の下にエンジンがあるキャブオーバー型なので、走行音もライバル車のニッサン・NV200バネットに比べると大きいです。動力性能もNV200バネットに比べると一歩劣ります。
タウンエース(GL) | NV200バネット(GX) | |
5MT・2WD | 1,975,000円 | 2,042,700円 |
4AT・2WD | 2,064,000円 | 2,297,900円 |
5MT・4WD | 2,258,000円 | (設定なし) |
4AT・4WD | 2,347,000円 | 2,728,000円 |
唯一のメリットは価格の安さです。売れ筋のAT車の場合、タウンエースの方がNV200バネットよりも20~40万円ほど安価になります。また排気量も1.5Lなので税金面でもタウンエースの方がメリットがあります(NV200バネットは1.6L)。
近年は価格の安さを生かしてキャンピングカーのベース車としてもよく使われています。キャンピングカーとして使うなら荷室は改造前提となるので、チープな後席はむしろ好都合です。また4WDの5MTが選べるというのは、マニュアル愛好家にとっては嬉しいポイントでしょう。
実はこのタウンエースバンはダイハツのインドネシア工場で生産されており、新興国向けのモデルを日本に逆輸入した形になります。それゆえ運転席周りは非常にシンプルで、主な装備はドリンクホルダーとグローブボックス程度です。写真はDXですが、GLグレードならば前席のパワーウィンドウと電動格納ミラー、キーレスエントリーが標準装備となります。
とにかくコスト優先で後席は改造前提、ある程度荷室高が欲しいという方にはおすすめの車です。
第5位 ニッサン・NV150 AD
プロボックスのライバル車で、長らく「ADバン」と呼ばれ親しまれてきた車です。プロボックスは商用バンとして専用設計されていますが、NV150 ADはウィングロードという乗用車(ステーションワゴン)を貨物仕様に再設計されたモデルになります。それゆえデザイン的には丸みを帯びており、乗用車に近いスタイルになっています。
後部座席は最上級グレードのエキスパートGXであればヘッドレストが用意されますが、シートの座面が真っ平らなので座り心地はあまり良くありません。また座面の高さも低めで、普通に座ると膝が座面から浮きます。一見マトモそうなリヤシートに見えますが、人を常時乗せるにはやや厳しい設計です。タウンエースと同じく2人乗り用だと考えておくのが良いでしょう。
運転席周りは営業車らしくかなり機能的で、収納トレイやポケットも十分にあります。中でもAC100Vコンセントが標準装備なのは嬉しいポイントです。
エキスパートGXであればインテリジェントキーが標準装備されることに加え、助手席が前方に倒すとシートバックがテーブルになります。この機構により2mを超える長尺物でもらくらく積載が可能です。これはプロボックスにはない大きなメリットですね。
一人乗り専用でサーフボードなどの長尺物を屋内に積みたい、荷室高よりも走行性能を重視したいという方にはおすすめの車です。
第4位 ニッサン・NV200バネットバン
トヨタ・ダウンエースのライバル車です。タウンエースに比べると若干丸みを帯びたデザインになっており、スタイリッシュと感じる方も多いと思います。貨物車というよりもミニバンに近く、プライベートユースでも違和感なく使える見た目です。
内装は最上級グレードのGXでは荷室がカーペット敷きになります。後部座席はヘッドレストなし、かと思いきやオプションでヘッドレスト付きのワゴン仕様リアシートが選択できます(下図)。これなら人を乗せるときも安心です。
さらにオプションのリアシートは分割可倒式になるので、長尺物を積んでも残りの後部座席を使うことができます。価格は33,000円とさほど高くありません。自家用で使うならぜひとも選んでおきたいオプションです。
運転席周りも黒とグレーのツートンカラーになっており、タウンエースに比べると華やかさが感じられます。収納類もカード入れやバインダー置きなどが追加されており、助手席を倒すとシートバックがテーブルになります。
動力性能もタウンエースより優れています。車重はNV200バネットの方が150kgほど軽く、エンジン性能も馬力・トルク・燃費はすべてNV200バネットの方が上です。また駆動方式はタウンエースがFR(後輪駆動)に対してNV200はFF(前輪駆動)なので、2WDでもそれなりに雪道を走れるメリットがあります。加えてキャブオーバーではなくエンジンがボンネット内に収まっているので、エンジン音もタウンエースに比べて静かです。
ちなみにNV200バネットは5ナンバーの乗用モデルも用意されています。乗用モデルでは内装がフルトリムになり、リアサスペンションが乗用仕様かつスタビライザーも加わるので乗り心地が良好になります。4ナンバーの恩恵である維持費の安さは享受できませんが、車検が2年ごとになるメリットがあるので、スタイルが気に入ったけど車検がネックという方にはおすすすめです。
荷物をあまり積まずプライベートメインで使うなら、タウンエースよりもNV200バネットのほうが断然おすすめです。
第3位 ニッサン・NV350キャラバン
ハイエースのライバル車であるキャラバン。現行モデルはハイエースをかなり意識したデザインになっています。大型最近では宣伝に力を入れていることもあってか台数も増えてきました。
後部座席は上位グレード(GX/VE)ならヘッドレスト付きのしっかりしたシートが用意されます。後席に人を乗せても安心な設計です。さらにキャラバンのリアシートは左右分割可倒式になっています。これはハイエースにない大きなメリットです。
運転席周りは黒とグレーのツートンカラー、ハンドルは加飾付きの3本スポークです。
荷室についてはラゲッジユーティリティナット(M6)が多数用意されています。荷室の天井にラックを作ったりバーを付けたりする場合はボルトで固定する必要があり、通常だと車体に穴を開けなくてはいけません。
キャラバンならもともとM6サイズの穴が空いているので、ボルトオンで簡単に固定できます。これもハイエースにはないキャラバンならではのメリットです。
ハイエース(スーパーGL) | NV350キャラバン(プレミアムGX) | |
2WD・ガソリン | 3,061,000円 | 2,963,400円 |
2WD・ディーゼル | 3,640,000円 | 3,569,500円 |
4WD・ディーゼル | 3,950,000円 | 3,883,000円 |
キャラバンはハイエースのライバル車だけあって価格が安く設定されています。ガソリン車で約10万円、ディーゼル車で約7万円ほど安価です。またハイエースは盗難台数が非常に多く、セキュリティにはかなり気を使う必要がありますが、キャラバンは盗難とはほぼ無縁で安心して乗ることができます。
盗難を気にすることなく、広大な荷室をお手軽にDIYして便利に使いたい方にはおすすめです。
第2位 トヨタ・ハイエースバン
トヨタが誇るキングオブ商用車、ハイエースバンです。年間販売台数は6万台前後と4ナンバー登録車ではトップの売上を誇ります。ちなみに販売台数2位はプロボックスで5万台前後です。
出典: トラック・バス販売台数一覧表【2018年12月】(トラックネクスト)
最上級グレードのスーパーGLならヘッドレスト付きの立派な後部座席が用意されます。人を乗せた長距離移動も快適です。
運転席周りはブラックをベースにシルバーの加飾が多数施されています。ハンドルは4本スポークでステアリングスイッチ付きです。またハイエースはAC100Vコンセントをオプションで付けることができます。
ハイエースのメリットは走行性能と信頼性の高さです。エンジン性能はキャラバンとほぼ互角ですが、ミッションは6ATを採用しています(キャラバンは5AT)。また4WD方式も、キャラバンはパートタイム4WDと呼ばれるスイッチで2WD/4WDを切り替える方式に対して、ハイエースはどんなときでも4輪全てに駆動力が適切に配分されるフルタイム4WDです。
またハイエースは盗難台数が非常に多いですが、裏を返せば海外での人気が高い、つまり故障しにくい信頼性とリセールバリューの高さの証明でもあります。キャラバンを抑えて大型商用バンのトップの座を守り続けているのは伊達ではありません。
NV350キャラバンと迷ったらハイエース一択です。特段の理由がない限りハイエースを買っておけば間違いはありません。
第1位 トヨタ・プロボックスバン
ハイエースと双璧を成すトヨタが誇るステーションワゴン型の商用車がプロボックスです。走行性能の高さ、運転席周りの快適性、取り回しのしやすさ、どれをとってもピカイチな性能を誇ります。また4ナンバー商用車では初のハイブリッド仕様もラインナップされており、より乗用車的に乗れる車になりました。
後部座席については最上級グレードのFならヘッドレスト付きのシートが用意されます。ADバンとは異なり座面もふかふかです。
プロボックスは運転席周りの収納が充実しています。1Lの紙パックホルダーやスマホホルダー、引き出し式のテーブルはユニークな装備です。
助手席のシートバックがテーブルになる車種はいくつかありますが、引き出し式テーブルを備えているのはプロボックスだけです。2名乗車でもテーブルが使えるのは大きなメリットです。またハイブリッド車であればオートエアコンが標準装備されます。これもADバンにはない利点の一つです。
プロボックスのようなステーションワゴン型の商用車は運転感覚が乗用車に近いので、ハイエースの大きさが必要という特段強い理由がない限りはプロボックスのほうがおすすめです。ハイエースは1t積みのバンなので、プライベートユース程度の積載重量だと乗り心地があまりよくなく、バンであることを意識させられます。
総評すると、
・後部座席に人を乗せて乗用車的に使うならプロボックス
・荷室に大きさが必要な場合はハイエース
・ハイエースの車体価格がネックな場合はNV200バネット
を買っておけば間違いはないでしょう。
まとめ
今回は4ナンバー商用車を自家用車(マイカー)に選ぶ理由について解説してきました。
・見た目より中身重視
・資質剛健さを好む
・コスパのいい車に乗りたい
という方にとって商用車をマイカーにするメリットは大きいです。
私は実際にプロボックスを自家用で乗っており大変満足しています。実際のレビューについては
「プロボックスって自家用にどうなの?車中泊はできる?維持費は?1年半乗ったレビュー」
「自家用でプロボックスを買った3つの理由」
「プロボックスは4ナンバーで毎年車検!維持費は2年車検の乗用車と比べて高いのか?」
をご覧ください。
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