20代でつみたてNISAを始めれば老後2000万問題は解決する

2019年10月21日

老後2000万問題が騒がれて久しいですが、20代でつみたてNISAを始めれば、老後に2000万どころか3000万円を手に入れることができます。

つみたてNISAとは?

年間40万円、つまり月々33,333円まで非課税で投資できる制度です

投資した商品が値上がりしたので売りたいとなった場合、通常だと利益に20.315%の税金が掛かります。例えば30,000円で買った商品が値上がりして31,000円になった場合は、利益分1,000円に対して約203円が税金として取られてしまいます。

しかしつみたてNISAなら非課税になるので、利益の1,000円をそのまま受け取ることができます。20.315%の税金がゼロになるので使わない手はありません。

つみたてNISAの口座はSBI証券で開設します。

どの商品に投資すればいいのか?

全世界または米国の株式全体に投資します
もう少し具体的に言うと、信託報酬が安く、時価総額荷重平均インデックスを採用した投資信託に投資します

以下ではなぜそういう結論になるのかを解説していきます。

なぜ全世界または米国の株式なのか?

長期的に見れば世界(米国)経済は右肩上がりで成長する可能性が高いからです

画像②クレディスイスPDF8ページ目 世界の株式推移(1989-2017)
出典: Credit Suisse Global Investment Returns Yearbook 2018(PDF)

上の図は1899年~2017年までの全世界の株式市場の価値(時価総額)を国別に見た結果です。2017年時点で米国(USA)が全世界の半分を占めています。また過去にさかのぼっても、1990年の我が国日本の躍進時や、まだ国力に乏しかった1920年以前を除けば、全世界の半分前後をやはり米国が占めています。

世界の経済は米国の経済の影響を強く受けます。では米国の経済成長が過去どうであったかを見てみましょう。

出典: AAII Journal

上の図は米国における過去200年の
・株式(Stocks)
・債権(Bonds, Bills)
・金(Gold)
・現金(Dollar)
のトータルリターンを表したものです。

株式(Stocks)のリターンが圧倒的に高いことが分かります。よく見ると途中で価値が下がっている時点もありますが、長い目で見れば右肩上がりになっています。

これに対して
・債権(Bonds, Bills)は株式と同様の動きをするが利回りが株に劣る
・金(Gold)はほぼ価値が変わらない
・現金(Dollar)はむしろ右肩下がり
であることが分かります。

20代から老後資金を作るための約30~40年間の長期投資であれば、株式に投資するのが最も良い結果を期待できます。

しかしここで注意したいのが、アップルやマイクロソフトなどの個々の会社の株を買うのではなく、株式市場全体を買う必要があるという点です。

なぜ株式"全体"なのか?個別株はダメなのか?

30年後の未来は誰にも分からないからです

株を買うと言えば、アップルやマイクロソフトなどの個々の会社の株を買うというイメージが強いと思います。しかし30年以上の長期投資をするならば、株式市場全体に投資する必要があります

グローバル時価総額ランキングー平成元年と平成31年ー
出典: https://media.startup-db.com/research/marketcap-global

上の図は今から約30年前の平成元年の世界の時価総額(企業の価値)ランキングと、平成31年4月のそれとを比較したものです。

30年前はNTTをはじめとする日本企業がランキングを独占していましたが、30年後の現在は見る影もありません。これに同じく、現在は「GAFA」の名で知られるグーグルやアップル、フェイスブックなどの企業も30年後はどうなっているか分かりません。

企業の個別の株を長期に渡って保有し続けるにはリスクがあります。今はよくても、30年後には価値が大きく下がっているかもしれないのです

これを防ぐために「株式市場全体を買う」ことが必要です。ざっくりいうと、上で示したような時価総額のランキングと照らし合わせて同じ割合で株を買う、つまり時価総額が大きい株は多量に、時価総額が小さい株は少量買うことになります。このような買い方を「時価総額加重平均」と呼びます。

全世界の時価総額加重平均に基づいて株を買っていれば、企業や国の栄枯盛衰があったとしても、自分の手持ちの株は常に最新の時価総額ランキングと同じになるので、長期に渡って安心して持ち続ける事ができます。

しかし数百~数千もの企業の株を時価総額加重平均で買うという行為は、我々一般人には到底不可能です。これを可能にするのが「時価総額加重平均インデックスを採用した投資信託」です。

投資信託とは何か?

私たち投資家が出資したお金をプロに託して運用してもらえる商品のことです

時価総額加重平均で全世界や米国株を買うのは一般人には不可能なので、代わりにプロにやってもらおうというわけです。例えばSBI証券では以下のような商品が対象になります。

商品名投資対象
(インデックス)
信託報酬
三菱UFJ国際-eMAXIS Slim全世界株式 (オールカントリー)全世界(ACWI)0.1144%以内
SBI-SBI・全世界株式インデックス・ファンド (愛称:雪だるま(全世界株式))全世界(FTSE)0.1102%
程度
三菱UFJ国際-eMAXIS Slim米国株式 (S&P500)米国(S&P500)0.0968%
以内
SBI-SBI・バンガード・S&500インデックス・ファンド米国(S&P500)0.0938%
程度
2020年7月21日現在の情報

投資信託で注意するのは
・投資対象がどこか(どのインデックスに基づくか)
・信託報酬がいくらか
の2点です。

投資対象については、上2つは全世界、下2つは米国市場です。

インデックス(指数)については、いずれも時価総額加重平均インデックスに基づくものであり、
・1番目はACWI
・2番目はFTSE
・3, 4番目はS&P500
に基づいています。

ACWIとFTSEについては全世界の時価総額ランキングの作り方、例えばどの国を含めるかやどの規模の企業まで含めるかといった点が異なりますが、リターンに大きな差はないので、どちらか好きな方で構いません。

信託報酬はプロに運用してもらう手数料のことで、これは安ければ安いほどよいです。例えば信託報酬が0.1%の投資信託に1万円を託して1年間運用してもらったとすると、10円相当が手数料として引かれることになります。

何円をいつ積み立てればいいのか?

つみたてNISAではその名の通り、定期的に一定額を貯金のように積み立てて投資信託を購入します。

SBI証券の場合は毎月/毎週/毎日の3パターンがありますが、基本的には「毎月」を選べばよく、給料などが入金され次第積み立てるのがよいでしょう。積み立て額は毎月100円~33,333円まで設定できるので、自分の月々の収支と相談して決めます。

いちいちSBI証券の口座に積み立て分を入金するのは手間なので、銀行引落サービスを使って給与などの振込口座から定期的に積み立て分が引き落とされるように設定しておくと非常に楽です。

毎月33,333円(年間40万円)以上を積み立てたい場合は?

SBI証券の特定口座で積み立てを行います

つみたてNISAの限度額は毎月33,333円(年間で40万円)なので、これ以上の金額を積み立てる場合は、はみ出た分を特定口座で積み立てを行えばよいです。

例えば月に40,000円を積み立てたい場合は、33,333円はつみたてNISAに、残りの6,667円は特定口座に積み立ての設定をします。

ただし特定口座は非課税にはならないので、売却時には通常の税率(20.315%)が掛かります。

まとめ

冒頭に示したように、20代からつみたてNISAを満額(月33,333円)で始め、年平均6.7%のリターンを誇る米国株に30年間投資すれば、積み立て元本の約1200万円が3,800万に化ける可能性があります。

リターンを3%と厳し目に見積もったとしても1200万が1,942万になるので、老後2000万問題はクリアです。

重要なのは「なるべく早く始める」ことです。時価総額加重平均インデックスに基づく投資は、初めて数年はなかなか結果が出ませんが、10年20年と続けていくと複利の力で資産が加速度的に増えていきます。そのためにもなるべく早く始め、なるべく長く続けることが肝要です。

まずはSBI証券でつみたてNISA口座を開設するところから始めましょう。需要があれば口座開設手順も記事にして解説しようと考えています。